総長への寄託義務を定めています。
海上保安庁では、航海者の利便のため、直線基線と領海の限界線を記載した海図を既に幾つか刊行していますが、大縮尺海図にも順次記載していくことにしています。(図5)
<図2>直線基線の設定に伴う領海(内水を含む)の変化例(能登半島)

<図3>東シナ海周辺の日本の直線基線および中国、韓国が宣言した直線基線

5、接続水域等
すでに述べたように昨年の領海法の一部改正により従来の領海法は領海及び接続水域に関する法律と名称が変わりましたが、触れていない改正点についても、簡単に紹介します。
一般に国の主権は、その領土および内水を超えて、領海(領海の上空、海底およびその下まで含む)にも及びます。内水と領海の大きな違いは、内水は領土と等しいもので、外国船舶の航行を原則として沿岸国は認めなくてもよいが、領海においては外国船舶の無害通航を否認できないことにあります。そして、領海の外側には国の管轄権などがおよぶ水域があります。
接続水域は先の法律改正により新たにとり入れられた制度で、領海に接続する水域として位置付けられ、領海の外側で次の規制が行われます。
一つはわが国の主権がおよぶところ、すなわち領域における通関、財政、出入国管理及び衛生に関する法令違反を未然に防止することであり、もう一つが同じく領域において行われた前述の法令違反の処罰のために必要な処置を執ることです。
そして、これらの取締りにあたってはわが国の法令が適用されます。接続水域は、領海と同じ基線から二十四海里までの範囲(領海を除く)で設定されています。(図6)
近年のわが国における麻薬・覚せい剤等の薬物の乱用問題、けん銃を使用した凶悪犯罪、増加する不法入国事件は、大変な社会問題となっています。これら海外から密輸入される薬物や銃器、あるいは密航者を水際で阻止し、検挙す